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ゴーストフィッシング

「ゴーストフィッシング」という言葉がある。「幽霊が釣りをしているのか?」との意味に思われるだろう。内容的にはその通りである。日本語に訳すと「幽霊漁業」だ。
その原因となるものは、「カニかご」や「底刺網」である。勿論、私たち人間が開発した漁獲効率が追求された漁具である。
これらの漁具を定置して、そのままそこに残ってしまうとどうなるか。恐ろしいことが起こる。そこに損傷していない漁具がある限り、永久に獲物を捕獲することになってしまうのだ。
「カニかご」の場合、かごの中には餌となる魚の切り身が入れられる。魚の死臭をを嗅ぎつけたカニは、アリ地獄式の仕掛けに入り込む。一度入れば、そこから出るのは困難である。
普通は漁業者が引き上げるものであるが、引き上げられなければどうなるか。カニは次々と入り込み、餌が無くなる。餌が無くなると、やがて共食いが始まる。その死臭を嗅ぎつけ、またカニが入り込む。この繰り返しである。底刺網も内容としては同じことになる。
放置される漁具の被害はなぜ起こるのか。例えばこういう状況だ。
密漁者が拿捕されるとする。勾留期間か続く間その漁具はしばらくの間引き上げられない。もっと最悪の状況は、密漁者が警備艇に見つかると仕掛けに付いているロープやウキを切断し逃走してしまう。そうなると仕掛けがどこに入っているか解らなくなる。その仕掛けは永遠にそこに残ることとなってしまう。
このように使い方を一歩誤れば、漁業資源にとってはとんでもない凶器と化すのだ。密漁を野放しにすることは出来ないが、摘発すれば幽霊漁業に陥りかねないのだ。漁業資源の枯渇が心配される中、この様なことは絶対にあってはならない。
そんな中、幽霊漁業防止策として、カニかごの一部に特殊な繊維を使い、海水にしばらく入れられると破れてカニが逃げられるような構造になっているものが開発されているという。一つの解決策としては最も手っ取り早い方法であろう。しかし、世界的な規模でこの様な対策が成されない限り解決されたとはいえない。
密漁者が潤うからこの様な幽霊漁業が起こってしまう。魚介類にも、肉やその他食料品のように、しっかりとした漁獲ルートの確立とその証明を明確に表示するシステムの確立を急がなければならないはずだ。消費者である我々もその辺を見極める目を養うべきであり、安いからといって安易に購入することを止めればいい。原油高の中、正規のルートでの魚介類が一般よりも大幅に安く購入できるわけはないのだ。安いカニやウニは疑いの目を持つべきである。

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